父の日に向けて

杉本さんより

素敵なコラムが届きました。

久しぶりのRitmo+と

そしてPapa Ritmoと

7月は杉本さんが沖縄にいらっしゃいます。

私たちの考える想いがつながり

2015年よりご縁あって毎年のように沖縄にお招きし

勉強会を開催しております。

どうぞ今年もたくさんのリトモなかまにご参加いただけるよう

様々な企画を用意しておりますので

どうぞお楽しみに。

それでは

杉本さんのコラムも是非お読みください。

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お父さんの愛情

父の日も母の日同様に、父の苦労をねぎらい感謝を表す日です。父の場合は子供に対する愛情が顕在化しにくいところもあるのですが、潜在的な深い愛情を必ず持っています。ある結婚式プランナーの『最後の言葉』というエピソードをご紹介します。

仲の良い友人に「結婚式お願いね」と声をかけられるのは、プランナーの冥利に尽きる出来事のひとつです。「彼と結婚することになったの。それで、あなたにプランナーをお願いしたいのだけど、相談に乗ってくれる?」

そう言って電話をかけてきたのは、中学、高校と同じ女子高で机を並べていた大親友。しかし大親友のお父さまは、2年前に大腸がんを患い、手術したものの転移が進んでおり、「もう長くないのでは」と言われていました。

混乱している彼女の話だけでは、状況判断ができないため、とにかくお父さまの入院されている病院に一人で伺いました。

「来てくれてありがとう。ちょうどよかった。預かってほしいものがあるんですよ。そこの戸棚の引き出しのいちばん奥にある封筒を取ってもらえませんか」

小さな戸棚の引き出しを開けると、小さな封筒が出てきました。中には、まだ赤ちゃんだった親友の綾香を抱いているお父さまの写真と、10分のカセットテープが入っていました。

「おじさん。綾香は、来月結婚式を挙げるんです。会場、押さえたんですよ。だからおじさん、ぜひ参列してくださいね」

と伝えたのですが、お父さまは小さく首を横に振られました。

「こうしているとね、自分の寿命が分かるんです。来月は、たぶん、無理でしょう。焦らず、盛大ないい結婚式を挙げてやってください。その封筒もお願いしますよ」

その1週間後、お父さまは容態が急変し、お亡くなりになりました。結婚式はもちろん延期になり、彼氏はずっと彼女のそばで励まし続けていました。お父さまが亡くなられてからちょうど2年後。彼女の結婚式は、ジューンブライドでした。私もプランナーとして、ずっと一緒に準備をしてきました。

式を終え、披露宴が始まりました。花嫁が中座、お色直しでの入場の後、私は2年間ずっと内緒にしてきたあのテープをかけることにしました。

「よっ、綾香、元気か? 大きくなったなあ。花嫁姿を見られなくて残念だけれど。さぞかしキレイなんだろうなあ。おまえは小さい頃、風邪ばっかりひいて身体が弱かった。その割に勝気でいたずらをよく仕掛けてきたよな。覚えているか?夏休みにお父さんの田舎に連れていったとき、外から鍵がかかるトイレに父さんが入ったら、お前が鍵を閉めてしまったこと。全然お前が開けてくれないから、『助けてくれーっ』 と叫んだんだけど。あれは恥ずかしかったなー。」

場内は大爆笑。親友も初めこそ驚いていましたが、お父さまのトークに涙を流しながら笑っています。ユーモアがあり、いつも笑いを忘れないお父さまらしいな、と私はうれしくなりました。

「そして―、綾香をもらってくれた新郎へ・・・娘は大人になってもいたずらを仕掛けてくるかもしれませんので、注意してくださいね。もしも綾香が、ぷーっとふくれ面をしたら、甘いものを食べさせると機嫌が直るはずです。それから、彼女は一見、気が強そうだけど、根は甘えん坊で、いたってやさしい子です。どうぞ、末永く大事にしてやってください」

親友のドレスを着た肩が大きく震えていました。新郎も真っ赤な目でうなずきながら、聞いています。少し間をおいた後、お父さまは最後の言葉をおっしゃいました。

「おめでとう。幸せになれよ」

その言葉を聞いたそこにいる誰もが、涙を止めることができませんでした。 

父は常に子供のことを思っているのですが、父の愛情が真に子供に伝わるには多少の年月を要することがあります。一年に一度くらいは、父の日に父の愛情をねぎらってみてはいかがでしょうか。ご家族でいい父の日が迎えられるよう、心より祈念しております。

杉本哲也

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素敵な父の日をお過ごしください。